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日本助産師会中期ビジョン2025

日本助産師会 中期ビジョン

公益社団法人日本助産師会は、平成27年度総会で発表した「日本助産師会ビジョン2025」に基づき、助産師のケアの質向上のために3つのケアの充実を目指しています。専門職能団体として発展するための4つの推進事項等、ここに示す基本的な考え方と具体的実践案をもって取り組んで参ります。


公益社団法人 日本助産師会

日本助産師会中期ビジョン2025

Ⅰ~Ⅲは助産師のケアの質向上のための3つのケアを示し、
A~Dは専門職能団体として発展するための4つの推進事項を示しています。

すべての女性に助産師のケアを

助産師のケアの質向上のための 3つのケアについて

Ⅰ 妊娠出産ケアの充実

〈基本的な考え方〉

妊産婦が正常な妊娠・分娩・産褥経過をたどれるように支援することの重要性を再認識するとともに、助産師主導のケアシステムのますますの安全とケアの質の向上が図れるような活動を行っていきます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    周産期の安全に関する対策を強化します。

  2. 1)

    安全対策委員会による現状分析・更なる安全確保への啓発活動を支援・推進していきます。

  3. 2)

    周産期ケアの安全基準をアップデートしていきます。
    医療状況に応じた安全確保のために『助産業務ガイドライン』改訂を行います(『助産業務ガイドライン2024』)。
    変化する周産期ケアの状況に応じた安全評価を検討・実施していきます。

  4. 2.

    多様なニーズに対応したケアを提供します。

  5. 1)

    妊娠前からの妊娠・出産に係る健康教育実施体制を検討していきます。

  6. 2)

    周産期のメンタルヘルス支援・NICU退院児の母子ケアなど、多様なニーズに対する助産師の対応力強化を図っていきます。

  7. 3)

    妊産婦とその家族のニーズにそったバースプランの実現を支援します。

Ⅱ 産前・産後育児ケアの充実

〈基本的な考え方〉

「妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援」が求められ、助産師はその支援を中心的に担う専門職であると考えられます。産前・産後ケアの推進や、母乳育児支援の強化、児童虐待の予防とその対応について、その充実を図っていくことは助産師職能の責務であると考えます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    産前・産後育児ケア充実のための対策を強化します。

  2. 1)

    全国一定水準の産後ケアを提供するための指針を示します。

  3. 2)

    産前・産後ケアの質の保証を図るため『産後ケア実務者研修修了者』承認制度を整備していきます。

  4. 3)

    妊婦や母子が在宅で、必要な医療的ケアが受けられる体制構築を支援します。

  5. 2.

    助産所等地域で働く助産師と医療機関勤務の助産師及び関係諸機関と連携して切れ目ない支援をしていけるシステムを構築します。

Ⅲ 女性特有のケアの充実

〈基本的な考え方〉

女性が思春期より自己の健康を考えた生活を送り、かつ妊娠・出産に関して、その女性にとってよりよい自己決定ができることを目的とした、女性の生涯にわたる健康教育の強化を推進することは、助産師職能としての責務であると考えます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    思春期女性が健康的に生活できるよう、月経教育を含めた包括的な健康教育を推進していきます。

  2. 2.

    女性の生涯にわたる健康について、さらに対応力強化を図っていきます。

  3. 1)

    働く女性の健康づくり支援のためのモデル事業を展開していきます。

  4. 2)

    女性の生涯にわたる健康教育実施の好事例を全国に紹介していきます。

専門職能団体として発展するための4つの推進事項

A 多職種連携・地域連携の推進

〈基本的な考え方〉

より安全な周産期医療および全国的に地域包括医療が推進されるなかで、母子を支える専門職能として、チーム医療の推進、他専門職能集団との連携や地域行政への働きかけを強化していくことは、必須事項と考えられます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    各都道府県助産師会の周産期ネットワークへの参加率および周産期協議会への加入率100%を目指した支援を継続していきます。

  2. 2.

    各都道府県助産師会が、災害時の母子支援のための地域連携を強化するための支援を行います。

  3. 3.

    子育て世代包括支援センターへの助産師雇用の要望を推進していきます。

  4. 4.

    他団体との連携を強化し、より効果的な活動が実施できるよう、努力していきます。

B 優れた人材の育成

〈基本的な考え方〉

対象者へのよりよいケア提供のためには、優れた人材が必要です。そのためには、生涯・継続教育の強化やキャリアパスの可視化、離職の防止対策の強化が必要です。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    「アドバンス助産師の認証・更新を支援します。また、日本助産師会「開業助産師ラダー(仮称)」認定制度を発足させます。

  2. 2.

    全国において地域での助産活動を推進するために、開業助産師の実践能力向上を図る研修会が開催されるよう支援します。

  3. 3.

    助産師の声明/コア・コンピテンシー(改訂版)の周知を図っていきます。

  4. 4.

    助産師が自己の実践を意識して活動できるよう、ポートフォリオの活用を推進していきます。

  5. 5.

    潜在助産師の復職支援等、人材の活用を推進していきます。

C 国際協力の推進

〈基本的な考え方〉

ICMの一員として、ICMの示す助産師の国際基準を理解するとともに、世界にわが国の助産ケア、助産システムを紹介することは、本会の役割の1つと考えます。また、国際母子保健への協力を推進していきます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    ICM加盟2団体と協働し、ICMでの活動をより建設的に実施できることを目指します。

  2. 2.

    ICM大会において、日本の助産師活動の紹介や助産ケアの現状を発表します。

  3. 3.

    外国人妊産婦への更なる支援を検討していきます。

D 安定した経営・組織強化・運営の基盤整備

〈基本的な考え方〉

職能団体としての組織強化を図るために会員数の増加に努力するとともに、都道府県助産師会との相互合連携を強化します。また、助産所の安全性に関するデータの公表や母子保健施策への積極的な政策提言を行い、母子への良質なケア提供環境や社会における助産師職能の信頼性の向上に努めます。

〈具体的実践案〉

  1. 1.

    より積極的な政策提言と根拠になる調査の実施を推進します。

  2. 2.

    医療施設への本会活動の周知など、都道府県助産師会とさらに連携し、広報活動を推進していきます。

  3. 3.

    都道府県助産師会と協働して、組織率向上を目指します。

  4. 4.

    本会のHPの充実とともに、都道府県助産師会・助産所のホームページ開設・更新を支援します。