助産所をご存知でしょうか。
助産所は、助産師を施設の責任者とする医療法で定められた施設です。 緊急時の対応などについては、嘱託医療機関と連携することで安全な助産ケアを提供しています。
助産所で行うケアには、妊婦健診やお産、また母乳ケアや育児相談などの産後ケアがありますが、それぞれのお母さんや赤ちゃんに寄り添ってケアを行うことが特徴です。
また、「生と性の健康」を支える立場から、思春期や更年期における健康支援にも携わっています。
多くの施設は比較的小規模で、アットホームな雰囲気です。お産を取扱う助産所以外にも、母乳ケアや育児相談、思春期保健などを主な業務とする助産所や、訪問によるケアを行う出張型の助産所もあり、ご利用いただくみなさまのニーズやライフスタイルに合わせて、必要な助産ケアをお選びいただけます。
助産所は母子とその家族の健やかな健康を支援することを目的とした「産前・産後ケア事業」の拠点としても注目されており、医療機関や行政などとも連携しながら幅広く活動をしています。
何かお困りのことがありましたら、ぜひ一度、お近くの助産所にご連絡ください。わたしたちは、地域に暮らす女性とその家族に丁寧に寄り添い、身体的・心理的・社会的な健康を支援します。
公益社団法人 日本助産師会
2023年3月
「分娩を取り扱う助産所の安全対策について」
公益社団法人日本助産師会(以下、当会)会員が開設する助産所では、妊婦さまへの説明会や、初回面談時などに、分娩を取り扱う助産所の安全対策について十分な説明を行うようにしています。なお、助産所の安全対策について、ご不明な点などがございましたら、お住まいの都道府県助産師会もしくは当会にご相談ください。都道府県助産師会の問い合わせ先は、当会のホームページに掲載されております。
説明会や初回面接では、助産所の安全対策について以下の説明をするようにしています。
1.助産所は「助産業務ガイドライン1)」を業務指針としていること
当会の分娩を取り扱う助産所を開業または助産所に勤務している会員は、助産所業務にあたり、当会が作成した「助産業務ガイドライン」を業務指針としています。助産業務ガイドラインは公開しております。また、妊婦様とそのご家族に対して、助産師の業務範囲、嘱託医療機関に受診する必要性と受診回数など、妊娠・出産の医療安全にかかわることを書面にて説明するようにしています。分娩予約確定時には双方が、医療安全について確認しあった事項をまとめた同意書を頂くようにしています。
2.「助産所賠償責任保険」に加入していること
助産所賠償責任保険は、当会が保険者となる団体保険制度になっており、加入できるのは当会会員のみとなっています。日本における助産所の賠償責任保険は、当会が保険者となっている「助産所賠償責任保険」のみです。
3.「産科医療補償制度」に加入していること
当会会員の助産所は産科医療補償制度に加入しています。産科医療補償制度とは「分娩に関連して発症した重度脳性麻痺のお子様とその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性麻痺発症の原因分析を行い産科医療の質の向上を図ること」を目的にしたもので、全国のほとんどの分娩機関が加入しています。
当会は、助産所の安全評価の実施や、全国の助産所分娩のデータを収集することなどを通して、助産所の安全管理状態を確認しています。そして、助産所の安全管理に課題を発見した場合は、都道府県助産師会または当会が、改善のための助言・指導を実施しております。また、日頃から嘱託医療機関、医療連携機関等との協議の場を設け、助産所がより安全に業務できるよう努めております。
さらに当会会員の助産所の助産師は、周産期医療についての情報のアップデートや新生児蘇生法(NCPR)、母体救命のシミュレーション訓練等、助産ケアの質の向上のために日々研鑽を重ねております。
【参考】
1)助産業務ガイドライン2019:
https://www.midwife.or.jp/about/guide-line.html
公益社団法人日本助産師会HP:
https://www.midwife.or.jp/index.html
産科医療補償制度HP:
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/index.html
助産師の声明
https://www.midwife.or.jp/midwife/statement.html /コア・コンピテンシー2021:
https://www.midwife.or.jp/midwife/competency.html