カテゴリー | 保健指導 |
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名前 | 齋藤 範子 |
所属 | エンジェル助産院 さいとう母乳育児相談所 |
母乳育児相談を中心に産前産後の骨盤ケア・赤ちゃんのケア
母乳相談では乳房ケアをおこないながら「授乳が上手くいかない」「吸わせられない」「抱っこが不安」という授乳に関する様々な悩みにも対応しています。
骨盤ケア教室では「骨盤ケアってどんなこと?」という話から、骨盤ケアの必要性、身体を歪ませない座り方、身体を整える体操など自宅ですぐに実践できることをお伝えしています。
助産院は病院とは違い一人一人のお母さんと近い立場でお母さんの気持ちになって一緒に考え、悩みや心配な事を解決していける場です。いつも妊婦さんやお母さん達が集まり、悩みや考えていることを話し合える憩いの場でもあります。
現在助産院では「エンジェル日記」のブログで情報発信や公式LINEでの育児相談やオンライン相談、助産院の予約などママのニーズに合わせて行なっています。 遠方にいても不安や心配になった時に育児中のちょっとした空いた時間で相談利用できるのでとても好評です。
市町村の産後ケア事業・産前産後教室・大学の非常勤講師
地域で市から委託される産後ケアや各教室を通して産前、産後にかかわる様々な支援をおこなっています。また非常勤講師として大学の助産師学科で地域の母乳支援や骨盤ケアに関する講義も行っております。産後は自宅に帰ってからの育児が中心になりますので母子や家族への継続した支援の必要性をお伝えしております。
「はっぴい育児アカデミー」母乳育児指導者育成講座
母と子に関わる専門職者向けに山形校の講師として乳房管理や乳房ケアの実際を学び母乳育児支援ができる後輩育成にも力を入れています。 助産師学生時代は乳房管理についての基礎は学べても、実際の乳房トラブルに対するケア、技術は学ぶ機会は少ないのも現状です。 地元で勤務をしながらでも身近で学ぶことができ乳房トラブルにも対応できる基本的な技術を習得し、日々、母乳育児に悩んで訪れるママ達の支えになれる指導者育成を目指しています。
祖母(開業助産師)、母(勤務助産師)の姿を身近に見たり周りの人から聞いて育ち、助産師という職業の素晴らしさに触れながら成長しましたので、絶対につきたい職業だといつも感じておりました、幼い頃から「将来なりたい職業」も助産師で夢は変わってませんでした。
現在の仕事を始めるきっかけを教えてください。
助産師学生時代に常に忙しい実習病院とは違い開業助産師さんの授業や実習は時間がゆっくり流れる雰囲気の中で、相談&指導が行われていることに、何とも心地よくとても感動したのを今でもはっきり覚えています。その頃からみんなに慕われる助産師になりたい、「将来は絶対開業したい!」と思っていました。
私は学生時代に開業助産師さんとお会いしたことがきっかけで卒業後は病院勤務でしたが勤めながら自分の学びを深めたいと、いろんな開業助産師さんの門を叩かせて頂いていました。出産も自然出産を助産院でしたいという思いから、助産師である姉の同級生が開業している埼玉の助産院まで行き、とても素晴らしい出産を体験することができたのも助産院を開業する後押しになったと思います。 開業したのは助産師になって11年目でしたが1番のきっかけは自分の母乳育児体験と産後のマイナートラブル(腰痛)の悪化です。
産後山形に戻り育児が始まりましたが、母乳育児が上手くいかず悩んだ時に相談できる所がないという現実にかなりショックを受けました。 「産後の支援や育児について、ちょっとした不安を聞きたいけれど相談する場所がない」
助産師として働いてはいたものの入院中のケアが中心だった病院の勤務では分からず、退院後の育児を経験してみてはじめて実感した事でした。 乳腺炎等のトラブルが起きれば病院で薬を処方はしてくれても「ちょっとした不安」を相談できない、母乳の悩みは育児不安に直結しているのに、「病院を退院して地域で子育てしてるママ達はどうしているのだろう?」と感じておりました。 本当に悩んで往復2時間かかる隣県の宮城まで母乳相談に行くママ達の話を聞き、宮城の先生と出会うきっかけともなりました。 母乳育児の支援は個別性も重要で技術もかなり難しいことが多いのに、具体的な乳房ケアを実際に学べるところも近くにはなく、快く学びの場を提供してくれた先生や一緒に学ぶ仲間とのつながりは、今でも悩んだ時に気軽に相談できるとても心強い存在です。
また産後は腰痛でもかなり苦しみました。自分の身体に不調があるとこんなにも育児が大変で、生活するのにも支障がでることを実感し骨盤ケアの重要性を認識しました。
様々なきっかけを機に母乳育児支援や骨盤ケアに関する学びを深め「安心して子育てできるように、ママ達が気軽に相談できる場を山形に作りたい」と言う思いから地域に出て開業することを決めました。
心に残っているエピソード等教えてください。
一人一人ゆっくりとママの悩みに添った個別性のある支援ができる事、相談は母乳育児支援が主ですが骨盤ケアを含めママの身体的な面、赤ちゃんの事などメンタルも含めてトータルケアができることにやりがいを感じています。
様々な不安や悩みが少しでも解決されてママが笑顔で帰られる姿を見れるのが何より一番うれしいことです。 助産師学生の実習も受け入れておりますが、助産院の地域での役割を充分に理解してくれているレポートを見るたびに、私が学生時代に感動した経験を実感してもらえたのかと嬉しく思ったり、授業で教えた生徒が産後の相談に来てくれたりすることも大変嬉しい出来事です。
ご苦労されたことがあれば教えてください。
私が開業した時、山形県ではしばらく振りの開業者でしたし、開業届を出している助産師が私を含め2名のみで、開業しての様々な悩み、情報共有できる仲間はおらず、一人で始めた助産院で心細く毎日不安でした。それは行政との関係も同じ‥すぐに支援につなげたいママがいても「既定の書類での報告書がないと動けません」と一言・・ママや赤ちゃんに何かあったら・・と思うと心配で眠れない日を過ごしたこともありました。
今ではすぐに連絡がとれる関係ともなり、開業助産師仲間も少しずつ増え安心して仕事ができるようになりました。
山形県内に開業助産師は現在11名います。私の助産院まで車で1時間かけて来る方もいますし、自宅訪問するのに片道2時間かかる地域もあり、まだまだ身近な存在になれていないのも現状です。
最近では少子高齢化に加え現在はコロナ禍、入院期間も短く産前産後のママが自宅に戻ってから不安なく過ごせ、楽しく育児できるように今後も支援を継続していきたいです。
また、身近に相談できる地域で働く助産師仲間が増え、病院でも産前産後支援が少しでも充実できるように、骨盤ケアの普及や母乳育児指導者育成講座を通して乳房ケア技術を伝え、一人一人に合った支援が自信をもってできるように後輩育成にもより一層力を入れていきたいと思います。
まだまだ様々な課題は残っていますが、今後も山形のママの身近な存在として支えて行きたいと思っております。
私は祖母、母、姉、姪、娘が助産師の助産師一家です。産科病棟やNICU、外来や教育機関など皆それぞれ違う職場で活躍しており働き方は一緒ではありません。それだけ助産師という職業は、様々な場所で活躍できる素晴らしい職業であるということです。自分がどんな助産師でありたいのか、助産師としてどんなことをしたいのか、常に自分の中で目標を持って仕事ができれば、一人一人が助産師として一生輝いていけると思います。